声と性癖
「ふふっ…」
「くすぐったい?」
「はい。」
「笑っている顔が、すごく可愛い。」

蓮根は目元を笑ませて、指はさらに、首へと降りる。
指先は首を撫でているのに、親指は唇を辿っていて、蓮根はひどく熱心にその結衣の様子を見ていた。

唇を辿られている様子をそんなに、見られて、結衣はどきん、とする。
「口、開けてください…」
「っ…あ…はっ…」

自分の呼吸がとても、熱くて、浅く早くなっているのが分かる。
「あなたの舌、すごく、柔らかくて、気持ちいい…」

指を舐める、というよりも舌を指で愛撫されているようだ。
口の中を指で探られている。

キスで気持ちいいところは知られているから、そこを蓮根の長い指で嬲られる。
結衣は、口を開けておくしか術がなくて、ただただ、必死で呼吸を繰り返すだけだ。

蓮根はその様子さえ、うっとりと眺めている。
余すところなく見られている。

そう思うと、結衣はさらにどきどきするのを感じた。
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