声と性癖
身体をよじって逃げても、今度は脇腹に顔を埋められて、ちゅ…とキスをされる。
くすぐったいような、気持ちいいような微妙な感覚だ。

身体を辿る指の動きも、それを確認されるように落とされるキスも、もどかしいような、けれど、とても感じてしまって、結衣は徐々に体温が上がってくるのを感じる。

蓮根のキスが、身体を辿って少しずつ、上にあがってくる。
「はい、手、上げて?」

素直にバンザイする結衣だ。
蓮根は脱ぎかけて、腕に服が絡まった状態で、動きを止める。

──え…?!
「この光景も、すっごくいやらしくて、いいですね。」
    
「な、なにを想像してるんです?!」
「拘束されている結衣さんを。」

恥ずかしげもなく、ケロッと言うので、一瞬、そうかと思ったものの、いや、待て待て、となった。

今、拘束、とか言った?!

「脱ぎかけ、とかエロくていいですよ。」
腕が服に絡まって、抵抗出来ない!

「蓮根さんっ…」
「結衣さん…、違うでしょう?」
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