ずっと気づかなかっただけ。

伸ばした手は私の髪に触れて、

「髪、短いのも久々にみた、…似合ってる」

少し恥ずかしそうに視線を晒しながら言うから、

なんだか笑っちゃう。

だって、こんな格好になってる私のが恥ずかしいのに!

こっちを見てほしくて、

戯れるように、髪を触ってくれるチカくんの手に顔を擦り寄せる。

「チカくん、大好きっ」

「っ、真白が悪いからな」

「へっ、あ!また!」

頬を押さえる私。

チカくんが頬にキスしたから。

「…こんなことされて、頬で我慢してんだから文句言うな。」

なっ!!

「それに真白もさっきおでこにしたじゃん。」

ななっ!!

恥ずかしくて真っ赤になる私にチカくんは満足そう。

「真白、好きだよ。…好きだ。」

絞る出すような声で私を呼んで、

チカくんが好きだと溢すから、

泣きそうになる。

応えたいって思う。

抱きしめられたこの温かい腕に嫌悪感なんて一切なくて、

ただただ心地よくて、あったかくて、

ちょっぴり、

いや、だいぶドキドキして。

おずおずとチカくんの背中に手を回す。
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