ずっと気づかなかっただけ。

少し動きが固まるチカくん。

「…な、なに」

「…いや、深い意味はないってわかってる。」

そう言われて、

なんだかわからないけど、

少しムッとして反論する。

「ふ、深い意味があったら、ダメなの?」

「は?」

チカくんが、私を少し離して顔を覗き込んでくる。

「…え、真白顔…」

「な、なに!チカくんに応えたいって思ったらダメなの!?」

ヤケクソで何故か怒り出す私に、

嬉しそうに笑うチカくん。

うっ、

キュンとする。

「真白、俺の彼女になってくれるの?」

「…うん、チカくんの彼女…になる。いい?」

「ん。…最高。」

チカくんがとろけるように笑うから、

心臓がうるさくて、

だんだん近づいてくるチカくんの顔。

あと少しで触れるってところで、

手で拒んでしまう。

「…ダメ?」

か、かわいい。

なにこれ、バクバクする。

「ま、まだ早いっ!」

「…何年待ったと思ってんの。」

「う、こ、これで許して!」

自分からチカくんの頬にキスする。

チカくんは少し驚いた顔して、

深くため息をつく。

「はぁぁぁ、しゃーねなぁ、真白、好き。」

ぎゅうっときつく抱きしめてくれる。

チカくんが甘々で心臓がうるさくて、

なんだかふわふわしちゃうの。


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