ずっと気づかなかっただけ。
「…千景先輩とは相変わらず?」

「う、うん、」

「おでこにキスしてたけど、」

「ふぇ!!」

電車で思わず変な声を出してしまって慌てて口を塞ぐ。

そ、そういえばチカくんを止めようと、

キス、したね、私。

「しかも、千景先輩が先にした的なこと言ってたけど。」

そんなことまで言ったっけ?!

…言ったね。

一生懸命で何も考えてなかった。

「え、いや、そう、だっけ?」

明らかな挙動不審。

「幼なじみ、でもそういうのすんの?」

「え、えっと、…えーと、」

「…千景先輩だから?俺がしたら?」

えっ、

チカくんだから…はそう、だけど。

太一が、私に?

想像してみるけど、想像ができない。

「太一がそういうの想像つかないなぁ」

「…じゃあ実際にする。」

「へっ、」

チカくんより少し身長の高い太一が身をかがめる。

「ちょ、何考えてるの?で、電車だよ?」

慌ててカバンを使ってガードする。

「電車じゃなきゃいいってことだよな?」

「そんな話じゃない!もー、どうしたの?」

カバンを下ろして、

太一をみていうと、

太一は少し不機嫌そうに言う。
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