ずっと気づかなかっただけ。

「太一じゃダメなの?」

「え…」

チカくんじゃなくてって…ことだよね?

「ずっと私の中の特別はチカくんで、もちろん太一もなっちゃんもタケくんも特別なんだけど…」

喋りながら頭の中を整理する。

チカくんじゃなくて、太一?

…ううん、

「やっぱり、太一はそういう、その、恋愛感情とは違う気がするの」

そうぽつりと言う。

「でも、水瀬先輩も好きかわかんないんでしょ?」

そう、なんだけど…

「幼なじみと彼氏の好きな違いはなんだろう…」

ずっと考えてる。

「チカくんは私にとってずーっと特別で、私のこと甘やかしてくれて、チカくんにとっても特別だと思ってたくて、」

チカくんの好きなところを思いつく限り話し始める。

「他の人といる水瀬先輩は?好きなの?」

他の人…

「クマさんならいいけど…女の人は、…いや、みたい。」

想像して、

悲しい気持ちになって頭を振る。

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