ずっと気づかなかっただけ。

「それって、結城さんはずっと水瀬先輩のこと、そういう意味で好きなんじゃないの?」

びっくりして、

タケくんの顔を見る。

空いてる窓から風が吹き抜けて行った気がした。

「そっか、違い、なんて最初からなかったんだ…」

その言葉を自分で口にしてから、

今までのことがすっと自分の中に馴染んでいくように感じた。

そっか、

そっか、

ずっと、私、チカくんが好きだったんだ…

スタンと胸に落ちた、

自分の言葉に心が軽くなる。

ちゃんと、伝えないと!

チカくんにも、

…太一にも。

「チカくんにも、太一にも伝えなきゃって思うんだけど…」

太一から直接的な言葉を聞いたわけではないのに、

自分から、

『私、チカくんがずっとそういう意味で好きだったって気づいたの』

とか、言ってもいいものなの?

「気にしてることはわかるけど、断るとかじゃなくて、結城さんの気持ちを伝えるってことだし、夏海ちゃんとか俺にもするように報告、したらいいんじゃない?」

タケくんが親身になって教えてくれる。

そっか、

うん、ちゃんと伝えよう。
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