ずっと気づかなかっただけ。
チカくんが私の手首を優しく撫でていう。

少し赤くなった手首。

でもっ!

「チカくんっ、ごめんなさいっ」

チカくんに抱きつく。

でもね、チカくんのせいじゃないよ、

何も言わずに逃げた私のせいだもん。

チカくんは私を受け止めてくれて、

ぎゅっと抱きしめてくれる。

「…何された」

ふるふると首を振る。

「…腕掴まれただけ。チカくんが助けに来てくれたから…ありがとう。」

ぐりぐりと頭を押し付けながらお礼を伝える。

「手、赤くなってる」

「これくらい平気だよ。」

「…真白に、紐つけたい」

「え、怖いよチカくん」

「だって絡まれるし、自覚なくフラフラするし…真白は俺の彼女だろ、そばにいろよ…」

チカくんの綺麗な手がチカくんのおでこに当てられる。

困ったような仕草に、困ったような顔。
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