ずっと気づかなかっただけ。

「そろそろタイムオーバー。勉強。」

「クマ邪魔すんなよ…てかいつからいた。いくらクマでもこの真白はみちゃダメ。」

チカくんが私を隠すから、

私からはクマさんが見えない。

「今来たから見てない。…仲直り、したわけ。」

クマさんの声に、

チカくんが小さく、ん、って返す。

クマさんはため息をついて、

「ほんと、手のかかるカップル。みんな待ってる。」

「悪い、クマいつもありがとな。」

クマさんの軽い笑いが聞こえてきて、

覗き込もうとすると、

チカくんにデコピンされる。

「…嬉しいけど、無理しなくていいから。真白のペースに合わせたい。」

チカくんの言葉に、

笑みがこぼれる。

「無理してないよ!私もチカくんと同じ気持ちなの!」

チカくんは、ならいいけどって嬉しそうに笑って、

そのあとすぐため息をつきながら立ち上がる。

「恭介さんに怒られに行くか…」

時計を見ると、

チカくんとお話を始めてから、

30分くらいしか立ってなくてびっくりする。

もう2時間くらいチカくんといた体感だった。

それくらい濃い時間だったのかな。

真っ赤になりながらひそかにそう思った。
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