ずっと気づかなかっただけ。
両手に抱えきれないくらいの出店で買った、
クレープにリンゴ飴、焼きそば、たこ焼き。
「どうする?この辺でみる?」
なっちゃんの声に、
タケくんが反応する。
「俺もう少し人少ないとこ知ってるよー」
また歩き出した2人に慌ててついて行こうとしたら、
持ってたまだ袋がついたままのリンゴ飴が落ちそうになって、
慌てて腕と体の間に挟む。
「大丈夫か?買いすぎだろ?」
太一だってたくさん持ってくれてるのに、
私の手から下げてる袋を攫ってく。
「あ、ありがとう!嬉しくてたくさん買っちゃって…」
あれ。
話しながら顔を上げると、
人混みで、
なっちゃんたちの姿がない。
「うわ、はぐれた?」
太一が連絡を取ろうとケータイを開く。
わ、私も連絡取ろう、
カバンの中のスマホを探そうとしたら、
「結城は俺のそばにいて、俺を見てて。ケータイに気を取られてはぐれられたら、困るから。」
序盤にドキッとしつつも、
そのあとの言葉に返事をしながら太一を軽く睨んだら、
「…結城やりそうじゃん」
と苦笑いされて、何も言えなくなる。
…たしかに、否定はできない。