ずっと気づかなかっただけ。
こういう時、横にチカくんがいたら、
手を握って離れないようにするけど…
太一を見上げて、
一度手を太一の服の袖に持って行こうとして、
…やめる。
これも、友達にはしないかな?
なっちゃんにはするけど、
タケくんにはしないだろうし、
そりゃ太一はタケくんより友達歴も長い、けど。
線引きはちゃんとしなきゃ、だよね。
…難しい。
「とりあえず、ここ人多いし隅の方移動して連絡とろう。」
太一の言葉に頷いて、
剥がれないように後をついていく。
屋台の間を縫って、
少し空いたスペースにある石段を指さされて、
座れってことかな?と思って、
腰を下ろす。
太一の方に手を伸ばすと、
太一が不思議そうに見るから、
「太一も座って!荷物一旦置こうよ」
と声をかけて荷物を受け取ろうとする。
「え、あ、うん」
太一がドギマギしながら、
荷物をそのままに横に座るから、
首を傾げる。
…変なことしたかな。