ずっと気づかなかっただけ。

私と太一の間に、焼きそばや飲み物。

太一が電話でタケくんと連絡とってくれてるみたい。

迷子にならないように大人しく座って、

流れる人混みを見てると、

「あ。」

目の前を通り過ぎるチカくん。

横には美波さんがいて。

手を繋いでるとかではないけど、

普通の友達よりは近い距離感にもやっとする。

…バカ。

チカくんのバカ、鼻の下伸ばしてんじゃないよ!バーカ!

実際にデレデレしてるかはさておき、

心の中で悪態をつく…可愛さゼロの私。

美波さんが何か言ってるけど、

聞き取れなかったのかチカくんが美波さんの方に屈んで話を聞いてて、

それをみた先輩たちが揶揄ってる。

チカくんの瞳は私に向いてなくて。

いま、チカくんの目に映ってるのは、

浴衣姿の美人さらに割増美波さんで。

…チカくんのバカ。

心の中でこっそりさらにそう呟いた。
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