ずっと気づかなかっただけ。
しばらくそれを見てたら、
チカくんの隣にいたクマさんと目が合う。
反射的に逸らしてしまう。
う、クマさん気付いてませんように。
私の醜い心を透視してませんようにっ!
そう思ってまたゆっくり視線を戻すと、
チカくんとクマさん、それに美波さんまでこっちを見てて。
な、なんだか居心地が悪い。
「た、太一、タケくんなんて?」
焼きそばたちを落とさないように、
身を乗り出しながら、
太一に確認を取ると、
太一が少し後ずさる。
あ、また距離感、間違えた…のか。
「…ごめん、」
焦りで忘れてた自分の注意点をまた頭の中で思い出して、
元の位置あたりまで体を戻す。
「…いや、ごめん、友達でいてくれようとしてんのに、いちいち反応して、」
「ううん、私が…」
2人の間に沈黙。
ど、どうしたらいいんだろう。
「なっちゃんたちどこって?」
「だいぶ離れたところみたい。歩ける?」
「うん、平気!それより時間平気かなぁ?」
花火はもうすぐ始まるはず。