ずっと気づかなかっただけ。

「結城、高木も今日はありがとう。」

帰り際、太一の言葉に、

「こちらこそ!みんなでみる花火楽しかった!」
「太一、ありがと。」

2人で返す。

駅まで歩きながら、

どの花火が良かったかとか、

結局私じゃなくて、タケくんが食べてたクレープを服にこぼした話とか、

今日のことを話す。

「千景先輩と帰るんだよね?連絡した?」

なっちゃんに言われて、

「したよ!チカくんこれから駅にくるって言ってた!」

「じゃあそれまで…「高木、俺が一緒にいる」」

なっちゃんの言葉に被せて太一がいう。

3人とも太一に視線が向くけど、

なっちゃんが何か言おうとして、一回それを飲み込む。

そして、軽く息を吐いて、

私と太一に向かっていう。

「じゃあ、任せた。千景先輩になんか言われたら私も言い訳するから。ほら、帰るよ。」

タケくんの服を掴んでなっちゃんが歩き出す。

タケくんは、

「太一、暴走はダメだぞ〜、また学校で〜」

と声をかけてくれながらなっちゃんの後をついてく。

「真白!千景先輩くるまでちゃんと太一といるんだよ!またね!」

「え、うん!なっちゃんもタケくんも気をつけて帰ってね!今日はありがとう!」

よくわからないまま2人にお礼を伝えて手を振る。
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