ずっと気づかなかっただけ。
第2章 縮まる距離

真白side


え。

慌てて振り返る。

振り返った先にはチカくんが、

壁に寄りかかって立ってて。

え?名前呼んでくれた?

ほ、本物?

返事して大丈夫なのかな。

頭の中が大忙しで、

返事ができずにいると、

「真白。一緒に…帰るか?」

チカくんがもう一度名前を呼んでくれる。

それに、一緒に帰るかって言ってくれた。

泣きそうになる。

「え…もう、いいの?」

「ん、悪かった。これ、お詫び。」

動けないでいる私の元にチカくんが歩いて寄ってきてくれて、

少し前みたいに優しく私の頭を撫でてくれる。

お詫び、といって、手に持たされたのは、

可愛い袋。
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