ずっと気づかなかっただけ。
「たしかに多いけど…そんなに?」

「通勤の時間と被るんだよ。中学の時のは割と少なかったけど。」

たしかに中学の時は今より2本遅いので、

周りは同じような学生ばっかりだったけど…

今日はスーツの人が多い。

そうこうしてると、電車が来て、

呆然とする。

ま、満員電車…

たしかに中学の時も座れはしないかなぁってくらいだったけど…

人混みに紛れて押されていく。

あ、チカくんと離れちゃう。

チカくんのリュックを掴もうとすると、

チカくんがその手を引いてくれる。

「わっ、」

あっという間に隅の方に来てて、

目の前にはチカくん。

「だから、離れるなよって言ったんだけど?」

「…うぅ、すみません。」

小さくなって鞄を前に持って抱きしめるようにして謝る。

チカくんは私が潰れないように守ってくれてる。

「チカくんがカッコ良すぎる。」

「…」

冷めた目が帰ってくる。

でも見捨てずに手を引いて守ってくれるのだ、

この人はこういう人なんだ。

ふふ、私の推しは今日もキラキラだ!
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