黒崎先生、質問です
「ごく普通の女子高生が学校でいじめにあい、ある一定の感情を超えた時…いじめっ子たちに復讐し、その手を真っ赤な血で染めるって話」
「……は」
「読んだことないなら貸すよ」
「っ、別にそんな本読みたくなんかないし!」
「気味悪いんだけど…行こっ」
自分たちから絡んでおいて、反撃すれば瞬時に顔色を変え逃げていく。
逃げ足だけは速いんだなぁ。
最初から絡みに来なければいいのにといつも思う。
私は去っていく彼女たちの後姿から本へと視線を戻し、続きの文字を追う。
はぁ…さっきまで気持ちよく読んでいたのに。
そんな思いを抱きながら休み時間終了の鐘を耳にして、そのページにしおりを挟んだ。
「ここはこの公式を使ってこう解いていく。次の試験に出るかもしれないぞー」
少し掠れた声が教室内に響き、先生に届かないよう話す小さな声、ノートにペンを走らせる音や窓の外から鳥の鳴き声が聞こえる。
授業が終わればお昼休みが訪れ、弁当は自分の机で1人で済ませてまた本を読む。
学校が終わればいつもの放課後の光景を目に颯爽と帰る。
今日はバイトのシフトは入ってないけど真っ直ぐ家に帰るわけじゃなく、向かった先は駅の裏手側にあるレトロなカフェ。
ここのケーキとコーヒーが美味しくて、それに雰囲気が気に入っている。