黒崎先生、質問です
「いらっしゃい。今日もケーキセットでいい?」
「はい」
カフェは40代の夫婦がやっていて、何度も来ているうちに顔を覚えてもらえた。
あとケーキセット以外頼んだことがないからかな。
「おまたせ」
「ありがとうございます」
奥さんが席に持ってきてくれたのは、今日も今日とて美味しそうなケーキと鼻腔を擽るコーヒーの香り。
「今日は何の本?」
「ミステリーホラーです」
「怖そうね」
「けど、面白いですよ」
「怖いのはちょっと苦手だけど、今度ハッピーな本教えて」
「えぇ」
「じゃあ、ごゆっくり」
とウインクをして厨房に戻っていった奥さん。
店内には私1人と貸し切り状態。今日はゆっくりできそう。
「すみません、3名いいですか?」
と思った矢先に人が入ってくるのはお約束。