黒崎先生、質問です
常連さん
「ねぇ、今日どっか行かない?」
「カラオケ?カフェ?」
「あ、この前新しく出来たカフェ行こうよ」
「いいよ~」
綺麗に施された化粧、上手く巻かれた髪を揺らして横を通り過ぎていく女子生徒。
「…キツイ香水」
通った傍から彼女たちの残り香が鼻を刺激する。
「じゃあな、部活頑張れよ」
「おう、また明日」
手を上げて別れを告げ、それぞれの場所へと向かう男子生徒。
私はそれをたまたま視界の端に入れながら、手に持ったミステリー本の文字を目で追う。
放課後、誰かと遊ぶ約束をすることもなければ、一緒に帰るような人もいない。
まるで、絵にかいたようなぼっち。
だけど、それを寂しいとか恥ずかしいなんて思ったことは一度だってない。
むしろ楽だとさえ思う。
毎日誰かに気を使って、嫌われないよう合わせて過ごすなんて地獄以外の何物でもない。
私は私の好きなように、楽しく楽に生きたいだけ。