黒崎先生、質問です
___彼らは食事を済ませると、お店をすぐ出てしまった。

結局、私と同じ本好きな男の人の顔を確認できず声だけを聴いていた。


「ご馳走様です」

「今日もありがとうね」

「林檎ちゃん、また来てね」

「はい、また来ます」


会計を済ませてお店を出ようとドアノブに手をかけえた時、


「あの、今日来た男性3人ってよく来るんですか?」


その手を止めて振り返り、奥さんに問いかけた。


「いいえ、彼らは初めて来たお客さんよ」

「そうなんですか」

「もしかして3人の中にいた本好きの子が気になるの?」

「少しだけ。私も読んだことある本だったので」

「また来た時にでもお話してみたら?」

「…そうしてみます」


少し間を開け考えた後、そう答えてお店を後にした。


「お話してみたら…かぁ」


今度は勇気を出してみようかな。


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