黒崎先生、質問です
その後、本を読み終えて家に帰った私は夕食をとっていた。
お母さんの美味しい最高な手料理に、大好きな最高の家族と一緒に。
今日あったことやくだらない事、他愛ない話をして食事を終えるとお姉とお父さんはリビングに、私は皿洗いをしながらテーブルを拭くお母さんと話す。
「林檎、行きたい大学は決めた?」
「…まぁ。この前話した大学にしようと思って」
以前、2つの大学どちらに行くかを悩んでいるって話をしたことがあった。
娘の人生の分岐点。
あれから何も言わなかったんだけど、親が心配しないはずがなく、ずっと気にしていたらしい。
「そう。林檎が決めたならお母さんは何も言わない」
「うん、ありがとう」
その笑顔が心の底からホッとしたもののように見えて、私以上に不安だったのかもしれない。
「そうだ。塾には行きたい?」
林檎の好きなように決めていいよ、とお母さんはどこまでも優しく私自身に道を選ばせてくれる。
正直、勉強は学校内でもトップをキープしてるし大学にはあと少し頑張れば行けるレベル。
必死に勉強しなくてもいい、てのは建前で息抜きする間もない日々は嫌ってだけ。
「勉強するなら家がいい」
それだけ伝えると、洗い物を終えた私はお風呂を済ませ眠気に誘われるがまま目を閉じ、夢の中へと落ちていった。