ブラック クリスマス
大好きな人がいた。
こんなネガティブで根暗で、自分に自信の無い私でも、
姿を見るだけでその光りを少しだけ分けて貰えたような、
そんな人だった。
常に人の中心にいるだなんて漫画みたいな人じゃなかったけれど、
それでも笑顔の絶えない人で、
隣に並びたいなんてそんな烏滸がましい感情を抱く事なんて許されない気がしてた。
……はずだったのに。
高校二年の冬、彼は私の隣に居た。
彼に告白されたあの季節、こんな私でも思わず浮かれて、
こう、
喉の奥からほわほわとした柔らかな熱が全身に行き渡ったのを今でも覚えている。
恥ずかしいくらいに想っていた事は、そして、
一年後の高校生活最後の冬まで、下を向いてばかりだった私の視界が少しだけ広くなった事までは、よく覚えていた。