ブラック クリスマス
「……俺の事、今も本当に好き?」
勿論、こんな私だったから、思うように彼の眼を、顔を見る事の出来なかった私だから。
いや、他にももっと、理由はあって彼にも思う事があったんだろうけど、
一気に冷水を浴びせられたようだった。
「……勿論。何で、そんな事、聞くの?」
分かってるくせに。
「よく分からなくなってきて。このまま続けるのはどうなんだろうって思ってて……ゆきは、どうしたい?」
もう決まってるくせに。
「別れたいって、事?」
ストーブの熱と蒸気が教室に籠って、息苦しいくらいの日だった。
思わず息が詰まったのは衝撃か、それとも膨れ上がった二酸化炭素のせいか。
この時抱いた感情もよく覚えていた。
泣きたくなるくらいに喉元で膨れ上がった息が、口から出てきた時には、
小さな、小さな、
掠れた声になってしまっていて。