ブラック クリスマス


ここからどうなったかとか、特に細かく思い出す必要もないだろうし、
話す必要もないだろう。

想像に容易い事だろうし、誰がこの話を聞いても終わったんだろうな、
としか思わない。


その通りで。

あの時は寂しさもあったけれど、全てを忘れて、新しい生活に飛び込んだはずだった。


今まで自信の無かった自分を捨ててきた、はずだった。

そんな中で、もう大好きだったはずの笑顔も香りも、思い出せなくなっていった。


地元を離れた私には、大学構内は勿論の事、
街中で彼の姿やそれを彷彿とさせるものを目にする事も無かったし。

定義なんて分からないけれど、このままちゃんとした大人になって、
どんどん前に進んで行けると思っていた。


でも、そんな事はなかった。





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