【完】傷だらけのプロポーズ
「お前には関係ないって言ってんだろう…! いっつもお高く止まって気にくわねぇんだよッ」
「はぁ?!何であんたにそこまで言われなくっちゃいけないのよ。
つーか痛ぇ…何すんだよッ?!」
思わず口も悪くなってしまう。 真澄はそんな私と八田さんをオロオロとして見ているだけで困り果てていた。
騒ぎを聞きつけた数人のホテルマンと会社の人間がわらわらと集まって来てしまって、恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。
これじゃあ、まるで八田さんと私が痴話喧嘩しているようだ。 変な誤解を周囲に与えたくない。 けれども酔っぱらった八田さんの怒りの矛先は完璧に私へと向いてしまったようだ。
「仕事は出来るかもしれないけど、可愛げがないんだよお前は…!」
「だからそんなのあんたに関係ない! つーかいちいち大きな声出さないでよ。唾が飛ぶ、汚い!」
「何だと!このッ!」
昔から人より少しだけ正義感が強く、気性が荒い性格のせいでこういったゴタゴタには関係がないのに巻き込まれる。
尻もちをついていた私を、八田さんは無理やり立ち上がらせようと腕を掴んだ瞬間だった。