【完】傷だらけのプロポーズ

「…私の素顔なんて、大河さんが見たらびっくりしちゃいますよ」

「えぇ?そうかなあ。美麻ちゃんってメイク取っても全然変わらないでしょう? 肌もすごい綺麗だし、寧ろメイクをしていない方が可愛いと思う。
いつか見せてくれる? 俺のベッドの中で、素顔の美麻ちゃんを」

冗談で言っているのか、本気なのかはいまいち掴めない。 彼の子供のような無邪気な笑顔を前にして、微妙な気持ちになってしまう。

「無理です。 だって朝比奈にもブスだって15年間言われ続けてるんですよ。 大河さんが見たらびっくりして倒れちゃうかも……」

朝比奈の名を出すと、大河さんの笑顔は一瞬曇った。
ふっと小さくため息を吐くと、顔を上げてジッと私の顔を凝視する。

時たま見透かされているんじゃないかって思う顔をする。 どれだけ隠しても、彼の前では私の頬のあざは見えてしまっているんじゃないかって、絶対にありえない事を考えてしまう。

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