【完】傷だらけのプロポーズ
「この間も言ったけれど、本当に朝比奈くんとは仲が良いんだね。
だって朝比奈くん、美麻ちゃんと俺が一緒に居る時明らかにムカついてたもんね」
「いや、それはこっちこそこの間言ったけれど誤解です。 朝比奈とは腐れ縁っていうか…
絶対に私は朝比奈に呪われてるんです。偶然にしたって15年間ずっと一緒なんて…」
「偶然ねぇ……」
少しだけ含みの持った言い方。 朝比奈の話を出すと、この間もそうだったけれど空気が微妙に悪くなる。
大河さんの持つ不思議な空気感は居心地がとても良いのに、朝比奈の名前を出すとほんのちょっぴり気まずくなる。
「そんなにずっと一緒なんて運命みたいだね」
「…運命って、そんな言い方止めて下さい。 私と朝比奈はそういうんじゃないって何度言えば…
あいつは昔っから私をからかっていじめてばっかりで…!」
そうだ。からかって、いじめてばかりで。
それでいて私の一番気にしている傷跡には絶対に触れなくって、いざとなったらいつだって助けてくれて
どうしてかは分からないけれど、いつも側に居てくれた。