【完】傷だらけのプロポーズ

「美麻ちゃんって朝比奈くんの話をしてる時が一番表情動くんだもん。 ちょっと嫉妬しちゃうね」

「だからそれは大いなる誤解です…!
確かに私にとって朝比奈はただの友達じゃない。…でもそれは家族みたいに一緒にいてくれていただけで」

13歳のあの日から、15年。 22歳に就職をして実家を出てから6年。
朝比奈と一緒に居る時間が、家族と一緒に居た時間より多くなっていく。

でも、家族じゃない。そんな言葉ひとくくりで朝比奈との関係は語れない。 この世にある言葉で、朝比奈を表現できない。

この感情は優しくて少し切なくて、やっぱり言葉では表せれない。

「朝比奈くんの事が誤解ならば、俺の事ももう少し考えて欲しいけれどね。
俺的には悔しいんだけど、美麻ちゃんの素顔も知っている朝比奈くんには嫉妬してしまうよ」

「だから、嫉妬してしまう関係では決してないんですってば…」

朝比奈の名前を出してからは、楽しかった会話も食事も微妙な雰囲気になってしまった。
そのままお店を出てから、大河さんはタクシーで私の家まで送ってくれた。

その車内の中でも、口数が少なくって気まずい雰囲気だ。  これも、朝比奈の呪いだろうか。何でも呪いに結びつけてしまうのもどうかと思うが。

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