【完】傷だらけのプロポーズ
自分を落ち着かせようとキッチンで珈琲を飲もうとすると、ベッドからゴソゴソと人が起きる気配を感じる。
恐る恐る振り返ると、ぼんやりとした顔をした真澄がこちらをジーっと見つめていた。 可愛い。あの日合コンに来ていた男達全員彼女狙いだったのも頷ける。
小動物系の可愛らしさがある。 少し天然っぽくって男が放っておけないのも分かる。 …だけど、昨日の俺何してんだ。家に連れ込んで…ヤッてはいないだろうけど(恐らく)一緒のベッドに寝ていたなんて…。
「朝比奈さん、おはようございます」
「あ、ああ…お、おはよう…」
満面の笑みでベッドから飛び起きて、キッチンにやってきたかと思えば俺の腕を掴む。
はぁ?!?!?!?!?!一度家に入れたくらいで何を彼女面してスキンシップしてきやがる。 やんわりと真澄の腕を解くと、彼女は少しだけ俯いて唇を尖らせる。
この女は今まで俺が好んで付き合ってきた女と同じタイプだ。 恐らく、自分に絶対的な自信があって、この世に落とせない男はいないと思っている。
今までの人生で男からは花や蝶やとちやほやされ続け、男に大切にされるのが当たり前だと思ってる。