【完】傷だらけのプロポーズ

「マンション前で小田切さんに会いましたよ、昨日。覚えています?」

「み、みあ…!って、あち!あちぃ!」

口につけたティーカップから珈琲が飛び出そうになった。 マジかよ。 全然記憶にない。つーかこの女と一緒に居て、俺がマンションに連れ込む(つもりなんかなかったけど)場面に遭遇してしまったわけか。

最悪だ。最悪すぎる。

「昨日朝比奈さんが酔っぱらって小田切さんの話をしてたから、マンション前で偶然会ってびっくりしちゃった」

おいおい、昨日の俺よ。 真澄に一体美麻の何の話をした?
どれだけ考えても覚えていない。
つーか好きで好きで仕方がない女の前で別の女を連れ込むってどういう事だよ。

いや、今まで彼女が出来たらマンションに連れ込んだりもして、それを美麻は知っていたかと思うけど

この女はLILI BULEに勤めている。 それを美麻は知っているのだろうか。 知り合いだったら相当気まずい。

「まさか偶然会うとは思わなかったけれど、会えて嬉しかった」

「あ、会えて嬉しい?!何で?!」

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