【完】傷だらけのプロポーズ

言い訳をする前に真澄が少し照れくさそうに「はい」と言いやがった。
これじゃあ、昨夜まるで何かがあったみたいじゃないか!!

ちらりと横目で美麻が俺を見上げた。 こ、これは…軽蔑の眼差しだ。こいつが俺へとよく向ける。

美麻への想いはちっとも届かない。だけど俺だって健康な男の子。女を家に連れ込む事は若い頃よくあった。半分は美麻に嫉妬して欲しくてやっていた事だけど。

そんな時は決まって美麻は軽蔑の眼差しを俺へと向ける。

「へぇ、仲が良いのね」

昔からちっともやきもちを妬いてくれる素振りを見せやしないから、こっちも半ばヤケクソになってしまうのがいつもの悪い癖だ。

でも俺ももう大人だ。こじらせすぎた初恋を前に、冷静に自分を落ち着かせるように息を大きく吸った。

きちんと話せば分かる。確かに昨夜泥酔して彼女を家へ連れ込んだのは、この俺だ。しかし美麻が思っているような事は一つもない。 冷静に話せばきっと分かってくれる。

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