【完】傷だらけのプロポーズ
―――――
「怪我はないか?」
「ええ、怪我はありません…ありませんけど…」
連れて来られたのはパーティーが行われているホテル内の一室だった。
とてつもなく広い室内はラグジュアリーな雰囲気に包まれ、とてつもなく豪華。 訳も分からぬまま、ふわふわの座り心地の良いソファーへと体が降ろされた。
「派手に尻もちついてたろ」
くくッと悪戯な笑みを浮かべた彼は、何故か私の隣に座り込む。 突然顔を覗きこまれ、思わず視線を逸らす。 少しだけ距離を保ち、そっと移動した。
「あの、近いです…」
社長の息子である結城大河と話した事は今まで一度もなかった。 どこにでもいるいち社員、接点なんて勿論ない。
見かけたとしてもそれはいつも遠くからで、こんな至近距離で顔を見たこともない。
しかし女性社員が騒ぐのも無理はないだろう。 ハーフだとは聞いていた。それにしても目鼻立ちがくっきりとしていて、整った顔立ちだ。
無造作に投げ出されたスーツのジャケットから伸びる手足もとても長い。
「怪我はないか?」
「ええ、怪我はありません…ありませんけど…」
連れて来られたのはパーティーが行われているホテル内の一室だった。
とてつもなく広い室内はラグジュアリーな雰囲気に包まれ、とてつもなく豪華。 訳も分からぬまま、ふわふわの座り心地の良いソファーへと体が降ろされた。
「派手に尻もちついてたろ」
くくッと悪戯な笑みを浮かべた彼は、何故か私の隣に座り込む。 突然顔を覗きこまれ、思わず視線を逸らす。 少しだけ距離を保ち、そっと移動した。
「あの、近いです…」
社長の息子である結城大河と話した事は今まで一度もなかった。 どこにでもいるいち社員、接点なんて勿論ない。
見かけたとしてもそれはいつも遠くからで、こんな至近距離で顔を見たこともない。
しかし女性社員が騒ぐのも無理はないだろう。 ハーフだとは聞いていた。それにしても目鼻立ちがくっきりとしていて、整った顔立ちだ。
無造作に投げ出されたスーツのジャケットから伸びる手足もとても長い。