【完】傷だらけのプロポーズ
「皆そういうもんじゃない? 佐江ちゃんだって不細工で貧乏よりもお金持っててイケメンの方がいいでしょう?」
「…そりゃあそうかもしれないけど。 何か、納得出来ないっていうか…」
朝比奈は仕事が出来て顔が良いだけの男じゃない。
そんじょそこらの男とは一緒にされたくない。 あいつは…あいつは…本当に心根の温かい人間なのだ。
口が悪くても本当に人の傷つく事は言わない。 何も考えてないように見せて相手が何で傷つくか、どこまでかは平気かをいつも顔色を窺っている。
そんな朝比奈だからこそ、私は彼にだけ素顔を見せる事が出来た。 朝比奈は、私の顔のあざを絶対に笑わない。
そんな朝比奈を選ぶなんて、真澄ちゃんは男を見る目がある。 なんて考えていたら悲しくなってきたので、考えるのは止そう。
「さー、仕事仕事。お店開店するよッ」
「もぉー…美麻さんってば…」