【完】傷だらけのプロポーズ
「何かご機嫌ですね、美麻さん」
「えー?そうー?」
「今日も美麻さん目当ての顧客さん沢山来てましたね。 こんな暇な平日でも、さっすが人気BAさん!」
「からかわないでよ、佐江ちゃん」
「からかってなんかないですよ。実際美麻さんの接客ってすごいなーって思うし、お客さん一人一人の悩みに寄り添ってあげてる感じがするし。
私は他人の顔にそこまで興味がないから、ついついお店で売りたい物ばかり勧めちゃいますもん。美麻さん目当てで来店するお客さんの気持ちが少し分かります」
いつになく真剣な口調でそう言った佐江ちゃんに、苦笑い。
私は、寄り添えているのだろうか。
人それぞれに顔にコンプレックスがある。 その悩みを少しでも解決出来るようにするのが私の仕事。
でもね、たまに劣等感に苛まれる時がある。 自分の顔にある一生消える事のない顔のあざ。それに比べたら、どんな悩みだって大したことではないのだろうか、と卑屈になってしまう日もある。
誰かと自分を比べても仕方がないはずなのに、このコンプレックスを解消出来ずにいた。