【完】傷だらけのプロポーズ

「もう、佐江ちゃんっていつも嬉しい言葉くれるな。
今日はラストまでだっけ?頑張ってね。
発注リストは出しておいたから、よろしくね」

「了解です。そんな慌てちゃって、もしかして副社長とデートですか?」

「止めてよ。そんなんじゃないよ」

大河さんからは連絡は貰っていた。
何でも最近は仕事が忙しいとの事で、あまり店舗には顔を出さなかった。

そもそも副社長という立場があって、一店舗にばかり顔を出すわけにもいかないのだろう。 近頃は出張やら会合があるとの事で忙しそうだ。 そして昨日まで北海道の店舗の方に行っていたはずだ。

私にばかり付き合ってる時間もないものね。 それに彼の気持ちにも答えないで宙ぶらりんなままな私に、拗ねる資格もないのだけど。

「でも、来てますよ?」

「来てる?」

「ええ、事務所の方で見かけたので美麻さんに会いに来たんじゃないかなあって」

大河さんが事務所の方に来るのに理由は様々ある。 店舗の売り上げや店長への連絡事項だったり、けれど期待している自分がどこかに居た。

もしかして会いに来てくれたのかなって。慌てて更衣室に行って着替えながら携帯を開くと、案の定彼から連絡が入っていた。

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