【完】傷だらけのプロポーズ
「そんな事より、今度うちの実家に来いよ。母さんが美麻に会いたがってるんだ」
「おばちゃんが?」
「ほら、美麻うちの母さんとも仲が良いだろう?最近は全然会いに来てくれないって、この間帰った時に愚痴られたんだ」
確かに、朝比奈のお母さんとは母親同士が仲が良いから昔からの付き合いだけど…。 最近はめっきりご無沙汰だ。それどころか自分の実家にも帰っていない。帰れば帰ったで結婚や孫やら小うるさくされるので嫌なのだ。
「今度実家に帰った時に朝比奈んちにも顔出すよ」
「そうじゃなくって、一緒に今度の休日にでも…帰ろう…かなって…」
いつになく歯切れが悪く言葉を選ぶような朝比奈。 僅かに視線をずらし、照れくさそうに頭を掻く。
「何で私が朝比奈と一緒におばちゃんに会いに行かないといけないのよ。 勝手に行っておくよ。
それより朝比奈は私なんかを連れて行くより彼女を連れて行った方がおばちゃんも喜ぶと思うけど」
「だーかーらーそうじゃなくって!」