【完】傷だらけのプロポーズ
08「偽りの自分。」
08「偽りの自分」
「へ?!えぇ?!」
北海道出張お土産の白い恋人を渡されて、彼の車で連れて来られた場所はとんでもない所だった。
今夜時間ある?なんて聞かれたから、てっきりご飯のお誘いかなんかかと思った。
連れて来られた場所は、高級美容サロンで、何故か私は美容師さんに髪をアップにヘアセットされている。
「ああ、いいじゃないか。 美麻ちゃんおろしている髪も似合っているけれど、アップも似合うといつも思ってたんだ。
仕事中はずっとアップだしね。」
BA業界は髪型に厳しい。 ので、仕事中はいっつもアップにして品のある夜会巻きにしている。顔が良く見えるよう前髪も基本は上げる。清潔感が何よりも大切にされる業界だ。
しかし大河さんが連れて来てくれた美容室でしてくれた髪型は、アップはアップでも華やかなまとめ髪だった。
両サイドの髪の毛は緩く巻かれ、後ろは編み込みで可愛らしくクロスしている。 ところどころから後れ毛が出ている所もより一層可愛らしさが増している気がする。
美容サロンでヘアセットをしている間大河さんは「用事を足してくる」と言って、丁度終わった頃に帰ってきた。
その手の中には大きな荷物があった。