【完】傷だらけのプロポーズ
「やっぱりすごい似合う。ぴったりだったなあ。
美麻ちゃん、これも」
そう言ってその場に膝を曲げて屈み、私の足の前へと靴を差し出す。
ワンピースと同系色の可愛らしいハイヒールだった。 するりと足を伸ばし靴を履くと、そのサイズまでぴったりで驚きだ。
顔を上げた彼は、また無邪気に笑う。
「どうして私にぴったりな物が分かるの…?」
「ほら、王子様はお姫様の事を何でも分かってるものさ」
得意に言う大河さんに思わず笑みが零れる。
大河さんを前にすると、まるでシンデレラや童話に出てくるお姫様になった気分だ。
口元を押さえてクスクス笑っていると、大河さんの腕が私の首元にぐるりと回る。 体が硬直してしまって、体中の熱が顔に集中していくようだ。
大河さんの吐息が肌にかかって、MISS LILIの香りがふわりと鼻先を擽った。
体を離した大河さんは私の背丈まで身を屈めて、首元を見てフッと柔らかく笑う。
「うん、よく似合う。 美麻ちゃんは元々綺麗だから、シンプルな物がよく映える。」
大河さんが肩を掴み、くるりと姿見へと私の体を傾ける。
私の首には、ひと粒ダイヤがついたネックレスが光っていた。