【完】傷だらけのプロポーズ
「でも意外。 美麻ちゃんがこういう場所好きなんて」
「あら、そうですか?パワースポットって来るだけで元気が出るじゃないですか。 それに私は自然も大好きだし
んーッ。やっぱり都内とは空気が違う。気持ちが良いですね」
大きく伸びをすると、横に居た大河さんは私の真似をして腕を青空に向かって伸ばす。
大河さんにどこに行きたい?と訊かれて、お隣の県まで車を出して貰った。
パワースポットと呼ばれている神社がある自然でいっぱいの観光名所は土曜日という事もあり人は結構出ていた。
けれども都内とはまた違い、観光客が溢れかえっていても空気が美味しい。 神社まで続く道沿いには、365日出店が立ち並んでいて風情を感じさせてくれる。
「大河さんはこういう場所好きですか?」
そう彼に問いかけると、とびっきりの笑顔を見せて頷いた。 その顔を見て安心した。
付き合うまで不安だった事は、自分の顔にあるあざの件だけではない。 私と大河さんとでは住む世界が違い過ぎるとどこかで卑下している部分があった。
意外に庶民派だという事は知っていたけれど、付き合ってみなくては分からない事も沢山ある。 そして付き合って一ヵ月とちょっと。彼とは波長も合うようで安心した所だ。