【完】傷だらけのプロポーズ
「俺お守り買っちゃおっと。 そういえば、初詣まだ来てなかった。 嬉しいな、今年の初詣が美麻ちゃんとなんて」
「私も忙しくって全然来れてなかったんで、今日初詣です。
お守り買わないと。ついでに去年のお守りも返納してこなくっちゃ。」
…そういえば、去年は朝比奈達と一緒に初詣に行ったんだ。
あの日は散々だった。 奈子や卓たちと新年早々深酒をしてしまって、二日酔いの中近所の神社に初詣に行った。
恋愛成就のお守りを買ったけれど、そんなのに頼って馬鹿みたいだと散々朝比奈に馬鹿にされた。 その朝比奈もこっそりと恋愛成就のお守りを買っていたのを私は見逃さなかった。
去年願った恋愛は成就された。 今年は一体どんなお守りを買おう。 どんな一年になるのだろう。
「それにしても寒いね。」
「晴れてるから気持ちがいいです。 でも手が冷たい!手袋持ってくれば良かった」
2月終わりといえど、まだまだ冬の陽気だ。 両手を口元に持っていってふぅふぅと息を吹きかけると、白い息が空中を舞っていく。
その私の手を掴み大河さんは自分のコートのポケットの中に入れる。
こちらを見下ろしたダークブラウンの瞳が、優し気に微笑んでいる。 その笑顔につられて自然に笑っている自分がそこには居た。