【完】傷だらけのプロポーズ
「お参りしたら、何か食べよう。 ひっさびさの出店ですっげーワクワクしてる」
「あッ、大河さんも出店好き?」
「うん。大好き。ここは一年中お祭りみたいな雰囲気で嬉しい。 出店で食べる物って何であんなに美味しいんだろうな?」
「ね。私、いちご飴が食べたいです。
あ、それにあそこにある大判焼きも美味しそう~。でもたこ焼きも食べたいし~」
「全部一つずつ買って半分こしたらいいよ。美麻ちゃんってば意外に食い意地張ってるから」
「あ~…ひっどい。 でも昔から朝比奈にも言われてたんですよ。
一緒にお祭り行っても私があれもこれも食べたいから、無理やり半分にしてもらって……
お前はいっつも食い意地を張っているって。」
言いかけてぴたりと会話が止まる。
コートの中、私の手を握る大河さんの力が強くなる。 それでもこちらを見下ろす笑顔は曇りなく優しかった。
…私ってば、何を朝比奈の話なんて。