【完】傷だらけのプロポーズ

去年買ったお守りは無事に返納出来た。
お参りを済ませて、代わりに大河さんと色違いのお守りを買った。

おみくじを引いたら大河さんは大吉で私は大凶だった。 分かりやすく落ち込んでいると、背の高い彼が高い場所にそれをくくってくれた。 そんな小さな優しささえ嬉しかった。


手を繋ぎながら何をするでもなく、出店の周りをウロウロする。

三つに連なったいちご飴を、大河さんは私に二つくれた。 大判焼きも大きい方を私にくれて、そんな優しさに心が温かくなる。

大河さんは無邪気な性格で仕草などもどこか子供っぽい。  大人っぽい見た目とのギャップがある。 

ハーフで恵まれた容姿を持っているのに、実は庶民的で親しみやすい。 一緒に居ると安心出来てふと結婚を意識してしまう。


結婚って何だろう? 元々結婚は諦めていたし、結婚願望もなかった。
けれど彼と居て、彼と過ごす優しい空気に触れるたびにこんな私でも意識してしまう。


赤の他人と家族になるという事。 そこには心から安心出来るパートナーと柔らかい時間が流れる。 彼にならば、素顔の自分も見せられる? 受け入れてくれる?

私がどんなに醜い傷を隠していたとしても……。

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