【完】傷だらけのプロポーズ
「ん?」
ジッと大河さんの顔を見つめていたら、彼は不思議そうに首を傾げた。
そして手に持っていたたこ焼きを差し出す。
「大河さん、口元にソースついてる」
ハンカチを取り出して口元を拭ってあげると、彼は眼を細めて穏やかに微笑む。
「何か、こういう時間って幸せだよなー…。何も特別な事をしてるわけじゃないのに」
「あ!それ私も今思っていたところ。
好きな人とだったら特別な事をしていなくても、特別な時間になってしまうんですね。
不思議…」
「出会いはちょっとめちゃくちゃだったけど、美麻ちゃんで良かったなあって思ってる。やっぱり俺見る目あるわ」
くすりと笑みが少しだけ漏れる。 そういえば出会いは結構めちゃくちゃだった。
無理やりホテルの部屋に連れ込まれて、なんて強引な人だと思ったものだ。