【完】傷だらけのプロポーズ
「美麻ちゃんと一緒に居るとホッとする。 それってやっぱり波長が合っているからだと思う」
「そうですね。私も大河さんと居ると安心します」
そう言ったら彼は照れくさそうに鼻を掻いた。 初めて見る色々な顔を知る度に、少しずつ好きになっていく。
この好きが降り積もっていって、いつの日か大きな好きになった時に私は彼との結婚を願うのだろうか。 もっともっと好きになった日には、離れたくないと願う日が来るのだろうか。
少しずつ意識をして、共に時間を過ごす度に好きになっていく気がするのに
まだ自分の秘密を話せずにいた。
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「へー、マジで美形だね。羨ましいわ。これで副社長でしょう?それって玉の輿よね。
いいないいな。私だったら即決で結婚しちゃうわ」
数日後、奈子が家へやって来てこの間のデートの写メを見せると羨ましそうに大きなため息をついた。
「やっぱり客観的に見てもかっこいい人だよね?」
私の言葉に眉をひそめ、奈子はビールの缶をドンッとテーブルに乱暴に置いた。