【完】傷だらけのプロポーズ
とはいえ、こうやって四人で飲むのは社会人になってからの定番だ。
私と朝比奈の家がお隣さんだからどちらかの家に自然と集まって、皆で飲み会。
それは今までごくごく当たり前の光景だったけれど、朝比奈と顔を合わせるのはやっぱり気まずい。
ここまで気まずくなることがあっただろうか。
朝比奈に彼女が居た時も、私に彼氏が居た時も
卓や奈子にパートナーが居た時だって普通に四人で集まっていた。
けれども、朝比奈が真澄ちゃんをマンションに連れて来たあの日以来
私と朝比奈の間には見えない溝が出来てしまった気がしている。 いや、それは違う。今までの私が朝比奈に依存しすぎていたのだ。
こんな関係全然当たり前じゃなかった。 何となくこの先もずっと一緒で、おばあちゃんやおじいちゃんになるまで朝比奈の隣で笑い合っているなどそれこそ不自然だ。
私達は違う人間で、別々の人生を歩んでいく理由がある。 だって私達は結婚を約束しているわけでも、そもそも付き合っているわけでもない。