【完】傷だらけのプロポーズ
現在俺は仕事で結城 美琴の自宅マンションに居る。
LILI BULEの女社長。 つまりは憎き結城 大河の母親にあたるこの女は、俺にとってはお得意様である。
大きな自宅マンションには、フランスから取り寄せたという結城社長ご自慢の家具が並び、宮殿のようでどこか落ち着かない。
お金持ちの考えている事は全く理解が及ばない。
バックやジュエリーにうん百万の金をかけるのも、お金持ちの道楽の一つに過ぎないのだろうが、一般市民の俺にはその価値さえ実は分からずにいる。
結城社長は限定のバックやジュエリーの収集癖がある。 似ている物をいくつも持っていたとしても、限定と聞けば何でも欲しがった。
体は一つしかないはずなのに、こんなに沢山持っている意味はあるのだろうか。
「後、頼んでおいた’アレ’用意しておいてくれたかしら?」
「ええ、そちらも勿論。 こちらの商品になります。 日本ではもう名古屋の方にしか在庫が残っていなくて、この日の為に取り寄せました。」
「さすが朝比奈くんね。うちのが欲しがっててね、全くお金のかかる子で困っちゃう」