【完】傷だらけのプロポーズ
困っちゃう、と言いながらも顔は嬉しそうだ。
50を迎えるとは思えない程、結城社長は美しい女性だ。 知らんところで整形やエステなどに行っているのかなんて俺には全く興味がないのだが
結城社長の為に名古屋からわざわざ取り寄せた品物は、有名ブランドのメンズ物の高級アクセサリーだった。
そしてお金がかかる子と言ったのは、現在結城社長が囲っている20代の男らしい。 お金を持つと男も女も変わらないなとは思う。
息子より年下の男に熱を上げる母親というより女の顔ばかり見せるこの女、自分の母親だと思うと寒気がするので、そこに関しては結城大河が不憫でたまらなく思う。
結城社長は自分の男性事情や性事情をあけすけに話すタイプの人間だった。
ソファーに浅く腰を掛けて、ティーカップを真っ赤なルージュの乗った唇へ持っていく。 所作は上品だけど、この女の本質の下品さは手に取るように分かる。
「そういえば、今度の休日にうちでホームパーティーを開くのだけど朝比奈くんも良かったらどう?」
「ホームパーティーですか…?」