【完】傷だらけのプロポーズ
「美意識の高い結城社長らしいですが…」
「自分の娘になる女性が醜いのは、少し嫌だわ。
私、美しい物が好きなの。
人間でも装飾品でもね。 朝比奈くんは誤解してるようだけど、私整形もあまり好きじゃないの」
「いや、そんな…」
自分は整形もせずにここまで美しいと言いたいわけか。
まあ、50を迎える女性でメスの一つもいれずにここまで美しいとなれば、それも才能の一つか。
「偽物が嫌いなの。 化粧品ブランドを立ち上げているような女が言うのも可笑しいかもしれないけど、化粧を塗りたくって自分の欠点を隠してる女性は好きじゃない。
大河の選んだお嬢さんは綺麗な子だったわ。あれは元がいいわね。大河も私と同じで面食いなんだなあって思ったわ」
自分に自信がなくては言えない言葉ばかり。
そうだ。結城社長は自信で満ち溢れている女性だった。
彼女がもしも美麻の顔のあざを知ったら何というのだろう。 そんな事は考えたくもない。
美麻には幸せになって欲しい。 結城大河に嫉妬ばかりして女々しい男だけど、その考えだけは変わった事はない。