【完】傷だらけのプロポーズ

誤解だ。完璧に誤解。

周りに気を遣って、人に嫌な気持ちをさせないのは昔から染みついた習性であって、彼女が特別なわけではなかった。

本当は周りの目ばかり気にしてる、肝っ玉の小さな男だ。 それを悟られないようにいつだって心の広い振りをしていた。

「朝比奈さん、小田切さんの事すっごく好きですよね」

「はっ?!?!?!?」

分かりやすく動揺すると、真澄ちゃんはくすっと小さく笑う。
あー…何でそんな可愛らしい仕草をするんだか。

「いっつも冷静で温厚な朝比奈さんが、小田切さんの話をする時だけ子供みたいになるんですもん。
大体昔から朝比奈さんと小田切さんが仲が良いのは周りから聞いてますし、小田切さんにだけ誰にも見せない朝比奈さんを見せているって感じ。
私、そういう恰好つけていない時の朝比奈さんも素敵だと思いますよ?」

「い、いやあ…そ、それは、大いなる誤解っていうか…俺は別に美麻の事なんて何とも思ってないし
それにあいつ今LILI BULEの副社長と付き合ってるし…」

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