【完】傷だらけのプロポーズ
11「秘密がバレる時。」

11「秘密がバレる時。」




「一緒に暮らしたいなあ」

「え?!」

ぽつりと大河さんが漏らした言葉に、思わず声が上ずってしまう。

現在休日前で、彼の家に泊まりに来ている。 料理は元々苦手な方だが、携帯で料理サイト片手に頑張って良い彼女を演じる。 …まあ、失敗ばかりなのだが。

今日の卵の皮の破れたボロボロのオムライスを二人で食べた後、彼が何気なく言った言葉に戸惑う。

「一緒に暮らしたくない? 帰ってきて美麻ちゃんが居たら俺嬉しいよ」

「一緒に暮らす……」

「嫌?」

「嫌では…ないけど…」

私は同棲をした事がない。
彼氏が出来ても同棲だけは絶対嫌だった。
今でさえ大河さんのマンションにお泊りする時は酷く気を遣う。

シャワーは当たり前に別々に浴びる。 こっそりと浴室内に化粧ポーチを持ち込んで、シャワーを浴びた後スッピン風に見せたメイクをする。

そして一緒にベッドに入って眠っても中々熟睡は出来ない。 枕やシーツにこすれてメイクが取れてしまっては大変だ。 よって、彼の家にお泊りした翌日は決まって寝不足になる。

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